特別企画「ともに」

第9回
12月10日(土) 13:00~13:54


気仙沼・大島の今
~観光地の復活に向けて
 気仙沼・大島は震災前のきれいな大島を取り戻し、観光客を呼び戻そうと、毎日、島民たちが島の清掃活動を続けています。大島の主な産業の一つ、観光の復活に向けて、そのシンボルとなる「瓶玉」作りが先月から始まりました。
 復興に向けた希望の光を込めた「瓶玉」作りは、漁師経験のない島民にも広め、観光協会を通して販売し、観光復興の資金に充てるためです。指導はカキの収穫体験や無人島探検など様々な活動を行ってきた元マグロ船漁師の人たちが務めます。
 瓶玉と同じように、希望の光を与えてくれるものがもう一つありました。津波で沈没した船が最近浮いてきたのです。エンジンを交換して完成したら、また観光客相手に体験メニューの仕事を再開したいと話しています。


石巻・雄勝!漁師たちの挑戦
地域の活性化を目指す
 石巻市は2005年に旧石巻市と周辺の6町が合併して誕生しました。今回の震災では、その合併の弊害ともいうべき、同じ市内でも地区によって復興の進み具合に大きく差が出ています。
 復興が思うように進まない町のひとつが「雄勝町」。震災前4300人いた住民は、現在わずか1000人ほどまで減少。もともと高齢化による人口の減少が進んでいた町にとっては、さらに深刻な状態になっています。
 15ある浜の一つ「水浜」で、3年後の水揚げに向けてカキの養殖作業を再開した伊藤浩光さん。今年8月、地元の漁業者などど合同で「OH!ガッツ」という会社を立ち上げました。この会社の特徴は、漁業者同士ではなく、販売流通の専門の人も他県から入れて、生産・加工・販売までやっていこうという点です。
 「雄勝」の水産業の復活、そして町全体の復興を目指して動き始めた「OH!ガッツ」。豊かな自然、文化に恵まれている町だからこそ、その可能性に期待し、これからも活動は続きます。


石巻・長面浦の今!あれから9カ月
 石巻市の北上川河口の「長面浦」。山と海の恵みを受ける豊かな内海も震災による地盤沈下と津波で深刻な被害を受けました。「のんびり村」という民宿を営んでいた坂下健さんは、仮住まいのアパートから毎日通って、地域の中でいち早く暮らしの再建を目指してきました。津波をかぶった1階部分のリフォームが完成、電気・水道の復旧はまだまだ先ですが、ここに戻ってくる意思を示している人たちに「元通り暮らせる」ということを伝えたいのだと言います。
 例年なら、すでにカキの出荷が始まっている時期ですが、今年はカキ剥き作業場が全壊したことに加え、長面浦のガレキ処理が難航しているため、今も坂下さんはじめ漁業組合の組合員たちも総出で、ガレキ処理に当たっています。
 震災を乗り越えた牡蠣の出荷。長面浦の人たちは、その日をじっと待ちながら復旧作業を続けています。


歌津!私たち負けねど
復興にかける住民たちの思い
 南三陸町歌津、寄木漁港の海には養殖いかだの浮きが目立ってきました。再起を目指す漁業者たちの強い思いが少しずつ形になり始めました。ワカメの種を挟み込む作業を、今年は漁港の漁師全員、共同で行っています。畠山鉄雄さんは津波で自宅、作業場、養殖施設を失いましたが、7月にはワカメの種の栽培を始めたといいます。11月~再開したワカメの養殖。2月上旬に最初のワカメが採れそうです。
 水揚げ後のワカメを処理する作業場も津波で大破しました。設備もこれから揃えなければなりません。
「早くても2、3年は赤字覚悟でやらないと。でも我々漁師なんで、そういう足がかりをつけないと、1年でも遅れると、どこまでも遅れていくんで。表面は強いけど、内面はさて、どうなのか?やるしかないとただ」
畠山さんの言葉です。