特別企画「ともに」

第11回
2月11日(土) 12:53~13:48


船越の高台移転と漁業のこれから (石巻市)
 石巻市雄勝町の中心部からやや離れた「船越地区」。「船越レディース」と呼ばれる浜のお母さん達が、雄勝硯の原料となる「スレート」に、魚や花の絵を描いてストラップやペンダントを作ります。復興市などで販売し、復興のために貯金しています。
 震災後、多くの住民は、石巻市内の仮設住宅や遠く離れた登米市に移って暮らしています。一日も早く戻りたいという住民の思いを受けた中里孝一さん。復興協議会などで「船越の高台移転」の意思を訴え続けて来ました。結果、雄勝地区全体の意見がまとまらなくても、集落ごとの意見がまとまった所から復興・造成を進める事が決まりました。1月、船越の住民は高台移転に同意。45世帯での集団移転が動き始めました。


ボランティアとともに~今も続く瓦礫処理と泥かき作業 (山元町)
 津波で町の半分近くが浸水し、3000棟以上の家屋が被害を受けた山元町。二次被害防止などのため、去年11月まで沿岸部はボランティアの人達等の立ち入りが制限されて来ました。最近ようやく住まいの片付けを出来るようになった人達の声に応え、ボランティアが活動しています。清水嘉人さんは埼玉県から通って活動を続けています。去年5月から土日の休みを利用してやって来ます。今も、主な作業は個人宅の清掃です。いつ戻って来れるか分からない中、自宅を元通りにしたいと願う依頼者。その思いに応え、床下の泥かきをします。清水さんは、「関東では地震を忘れつつあると思う。我々ボランティアが実際に来て、感じたことを東京に帰って伝えて行くのが必要なのかな。そういうのを少しずつ長くやっていけば、もっと被災地が良い方向に進むのかなと思っています。みんなに興味を持ってほしい」と、寄り添います。


来て・見て!復興ツアーとワカメ養殖の現状 (南三陸町)
 今月3日。仙台空港に福岡県から団体客がやって来ました。宮城復興支援センターの「支援ツアー」参加者です。「瓦礫を片付けるのも一つですが、見に来て、買い物してお金を使って、少しでも役に立てばという思いで来たんです。」
 津波で流されながら営業を再開した魚屋や、歌津地区の仮設住宅に案内される一行。仮設で暮らす女性達が作った小物やバックに見入ります。仮設住宅の中にも案内され、住民の話に耳を傾けました。「狭い中に5人で生活されとると、私たちには考えられん。」「長期的に支援を考えていかなければいけないって思いました。」
 一方、歌津地区でワカメ養殖をしている畠山鉄雄さん。去年11月末、種を海に入れたワカメは順調に育ち、約2mの長さに成長していました。すぐに収穫出来る程ですが出来ません。地形の影響もあり、電気の復旧に時間がかかっています。ワカメの多くは、漁港の作業場で加工してから出荷します。新しい機械も届き、収穫の時期を迎えながら、ライフラインの復旧が課題となっています。生活再建へ、もどかしい歩みが続きます。


小正月の伝統行事「えんずのわり」と地域の今 (東松島市)
 奥松島の月浜地区に伝わる小正月の行事「えんずのわり」。小中学生の男の子が岩屋に籠って共同生活をして、1月14日の夜、各家を回って田畑を荒らす鳥を追い払うお唱えをします。月浜地区は39世帯のほぼ全ての建物が全壊し、街並みごとなくなったような被害を受けました。今回の行事は実施が危ぶまれましたが、子供達は意欲的でした。被災した地元を想い、地域に脈々と伝わる行事に取り組んだ3人の子どもたち。月浜の大人たちは大いに元気づけられました。