特別企画「ともに」

第49回 2015年4月11日(土)12:53~13:23
[再放送]4月19日(日)深夜2:30~3:00


石巻・雄勝の今
[石巻市]
 町の復興は、まだまだスピードが上がらないようです。今年度から防潮堤や道路のかさ上げなど中心部の本格的な工事が、ようやく始まるといいます。
湾内を望む高台に仮設の作業小屋があります。町特産の雄勝硯の工房です。硯職人の遠藤弘行さんは、津波で自宅や作業場を失いましたが、震災発生の3カ月後には、実家の跡地に工房を再建しました。「一度は、雄勝から離れる事も考えましたが、生まれ育った故郷への思い、復興への期待を捨てることはできなかった」と遠藤さんは言います。
雄勝硯の材料「玄昌石」は、町内の波板という地区で採れます。波板地区は、震災前、21世帯が暮らしていましたが、残ったのはわずか4世帯。震災前からの課題だった過疎化も、震災を機に、さらに進んでいます。訪れる人を増やして地域に活気を取り戻そうと、去年、高台に「波板地域交流センター」が完成しました。運営資金を得る為、硯やコースターなどを作り販売しています。皆さん60代以上ですが、生き生きと働いています。小さな浜から新しい地域づくりの挑戦が始まっています。


名取・カーネーション農家の今
[名取市]
 以前、番組でもお伝えした名取市のカーネーション農家を3年ぶりに訪ねました。
震災前からカーネーション栽培の盛んな小塚原地区。海岸から約3キロ離れていますが、津波はここまでやってきました。
菅井俊悦さんの持つ大小6つの温室も、全て大量のがれきやヘドロに覆われました。ボランティアの助けを借りヘドロなどを取り除き、畑の塩分濃度を下げるため、何度も水を撒いて、震災の翌年に再開しました。
今では、震災前と同じように、たくさんの花を出荷できるようになりました。去年、暖房用の燃料代が高くなったこともあり、新しい事に挑みました。金魚草など、カーネーション以外の花の栽培です。長男の啓貴さんは育てやすい花も取り入れ、一年中、何らかの花を出荷できる計画を考えています。そして、菅井さんは、去年5月に6軒の農家で農事組合法人「ファーム閖上」を設立しました。津波被害などで農業を続けられなくなった人たちの農地を借り、米を作ります。今年は約20ヘクタールで作付けする予定です。