第616回 仙台放送番組審議会
(2024年6月26日開催)
開催日時 | 2024年6月26日(水) |
場 所 | 本社5階役員会議室 |
出席者 |
委員長 | 山本雅之 |
委 員 |
加藤美紀、菊池昭光、小宮仁奈子 今野恵、鈴木広一 |
加藤美紀、菊池昭光、小宮仁奈子、今野恵、鈴木広一 |
局 側 |
稲木甲二/代表取締役社長
福原一宏/専務取締役
氏家裕介/取締役
高荒治朗/取締役・報道制作局長
高橋肇/編成部長
山下悠哉/プロデューサー・報道部
角田翔太/ディレクター・報道部
篠原研司/番組審議室長
田村信也/番組審議室事務局長
石山利恵/番組審議室
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稲木甲二/代表取締役社長、福原一宏/専務取締役、
氏家裕介/取締役、高荒治朗/取締役・報道制作局長、高橋肇/編成部長、
山下悠哉/プロデューサー・報道部、角田翔太/ディレクター・報道部、
篠原研司/番組審議室長、田村信也/番組審議室事務局長、
石山利恵/番組審議室
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議題
- 5月の番組分類統計、視聴者からのご意見について、7月の主な番組の放送予定
- 番組合評
FNSドキュメンタリー大賞ノミネート番組
「不屈のセッター・藤井直伸~希望の星が遺したもの~」
5月25日(土) 16:30~17:25放送
【番組概要】
2023年、東京オリンピックバレーボール日本代表の藤井直伸さんが急逝した。31歳の若さだった。
石巻市雄勝町で生まれた藤井さんは、バレーボール部しか運動部のない小さな中学校で競技を始め、大きなけがや東日本大震災に挫折を味わいながらも、努力を積み重ねた。プロになってからも努力を絶やすことなく、クイックという武器を磨き、2021年には日本代表として東京オリンピックに出場を果たした
。
結婚を発表し、心身ともに充実した状態でパリオリンピック出場を目指していたある日、目の不調からステージ4の胃がんが判明…チームメイトに復帰を誓い、闘病生活に入ったが、最期までチームを気にかけ、バレーボーラーとして再び活躍することを信じていた。
番組では、藤井直伸さんの軌跡をたどり、彼が遺したものを関係者の証言を通じて見ていく。海の見える小さな町で育った少年が未来へつなげたものとは─?
※「FNSドキュメンタリー大賞」
フジテレビ系列の番組制作力向上を図ろうと、1992年に創設されたドキュメンタリーに特化した番組コンクール。
今回で33回目。
議事概要
- 第615回番組審議会の議事録が承認された。
- 局側から、5月の番組種別ごとの放送時間と、視聴者から寄せられた意見や苦情など合わせて263件の主な内容を報告した。合わせて7月の主な番組の放送予定を紹介した。
- 議題番組の審議
議題番組への各委員からの主な意見は以下の通り。
- 藤井選手が生き急いだのは、自分の生きざまを見せるためだったのではないか。そう思わせるような深い内容の番組だった。その気持ちに応えようとする取材側の執念。まさにテレビの矜持を見せつける力作だったと思う。
- バレーボールファンだけでなく多くの方が彼に気づき、尊さを知ることになり、また、彼に関係した方々は、改めて誇りに思える1時間だったと思う。何かにつまずき、足が止まってしまったら、彼のことを思い、またこの番組を思い出し、一歩前に進むことができるような1時間だったと思う。
- 「海の見える小さな町で育った少年」の物語…。今は廃校している中学校での「青空バレー」と「夜間練習」の時代まで掘り起こすことで、藤井選手がスポーツマンとしてあまり恵まれない環境で泥臭く頑張ったイメージとなり、視聴者の共感を呼んだと思う。
- 病状は悪化しながらもベッドで奥様とトスの練習をし、体育館で立ってボールをパス出来る信じられない光景にまで繋がり、どんな状況でも今やれることをやるという藤井選手の変わらぬ姿勢=「不屈」を視覚的に描くことに繋がっていた。
- 「病気が体の自由を奪っていったが、奪えなかったのはチームの勝利に貢献したいという闘志」このナレーションはすごく効いていた。
- お別れの会での恩師の言葉「環境に恵まれない子供たちに頑張ればオリンピックに行けるんだと、結果が出なくて悩み苦しんでいる中学生、高校生に『結果を求めるのは今じゃない、今は頑張ることが大事なんだ』と直伸自身から伝えてほしかった。」という言葉が胸に刺さった。
- お母さんが「息子が亡くなったことは悲しいが、遺してくれたものも大きい、それを無駄にしないように」と気丈に述べた後、「親を超えたから先に逝ったんですかね」と仰ったのは、希望の星だった息子を早くに亡くした母親の気持ちを表していて感動的だった。
- 藤井選手が逝去されてまだ時間も経過していない中での取材は、デリカシーが問われるということでの配慮だと推察するが、あえて言えば、奥様の声をもっと聴きたかった気がする。
- 番組の後半では、藤井さんのご家族、チームメイト、恩師の先生など、藤井さんと繋がりのある方々同士が、藤井さんとの縁で繋がり、藤井さんの遺志を受け継いでいく姿が描かれ、「希望の星が遺したもの」を感じた。
これに対し、会社側が次のように述べた。
- 藤井さんが亡くなってまだ1年も経っていない時期に、ご家族の心境を考えた場合、どうアプローチすれば良いのか、そこに踏み入って良いのかという葛藤があった。ただし、彼が亡くなって悲しいということや追悼に留まるのではなく、彼の歩みや言葉など、彼が生きた証を残すことに意義があり、今のバレー界や後世に遺すものを作りたいと思って作らせていただいた。
※第616回番組審議会の概要は、7月6日(土)の「月刊チャンネル寸評」で放送。