第630回 仙台放送番組審議会
(2025年11月26日開催)
| 開催日時 | 2025年11月26日(水) |
| 場 所 | 本社5階役員会議室 |
| 出席者 |
| 委員長 | 高田昌樹 |
| 委 員 |
小宮仁奈子、今野恵、白岩賢太 鈴木一子、鈴木広一、野沢千晶 |
小宮仁奈子、今野恵、白岩賢太、鈴木一子、鈴木広一、野沢千晶 |
| 局 側 |
稲木甲二/代表取締役社長
高荒治朗/取締役報道制作局長
山下悠哉/報道部長
角田翔太/報道部デスク
柴田渉/編成部長
篠原研司/取締役番組審議室長
伊藤大輔/番組審議室事務局長
石山利恵/番組審議室
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稲木甲二/代表取締役社長、高荒治朗/取締役報道制作局長、
山下悠哉/報道部長、角田翔太/報道部デスク、柴田渉/編成部長、
篠原研司/取締役番組審議室長、伊藤大輔/番組審議室事務局長、
石山利恵/番組審議室
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議題
- 前回議事録の承認
- 25年10月の番組分類統計、視聴者からのご意見等について
- 番組合評: 「Live News イット!」
10月27日(月)午後6:09~7:00放送
【番組概要】
宮城県内のニュースを伝える「仙台放送 Live News イット!」は、生活に密着したニュースをわかりやすく丁寧に伝えることを方針に、視聴者が共感できる番組を目指して、日々制作に取り組む。
この日の放送は宮城県知事選挙の翌日で、知事選が中心の内容となった。中でも当事者や支援者の声だけでなく、争点の一つとなった外国人政策に関する県内在住の外国人の反応や、SNS上のデマ問題への専門家の指摘など、さまざまな角度から“異例の展開”となった今回の選挙について取り上げた。
このほか、東北各地の動向も踏まえたクマ対策など、視聴者が知りたいと思うことをラインアップし、わかりやすく伝えようと努めた。
議事概要
- 第629回番組審議会の議事録が承認された。
- 局側から、10月の番組種別ごとの放送時間と視聴者から寄せられた意見や苦情など合わせて226件の主な内容を報告した。
- 議題番組の審議
議題番組への各委員からの主な意見は以下の通り。
- 村井知事への生中継インタビューは、行政の役割分担や課題を県民に直接説明する貴重な機会だった。アナウンサーが緊張感の中でもソフトな語り口で核心を突く質問を投げかけ、知事が丁寧に答えることで、視聴者は政策の方向性を理解しやすくなった。特に「県は調整役に徹するのか」という問いかけは、行政の立ち位置を再確認する場となり、説明責任を果たす好例と評価できる。
- 番組では「確証バイアス」や「敵対的メディア認知」といった心理学的概念を専門家が解説し、SNS時代の選挙報道の難しさを浮き彫りにした。人々が自分の信じたい情報だけを選び取り、異なる意見を排除する傾向がアルゴリズムによって増幅される危険性が指摘された。村井知事が第三者によるファクトチェック機関設置を表明したことも紹介され、情報の真偽を確認する仕組みの必要性を強調していた。今後の選挙報道における重要な課題を提示した内容だった。
- 報道全体では村井知事への厳しい質問や批判的な視点が目立ち、支持者の声が十分に取り上げられていない印象が残った。接戦であった事情を踏まえれば、不支持者の意見だけでなく、支持者が何を期待して投票したのかも紹介することで、公正中立性がより担保されたはず。選挙報道は民主主義の根幹を支えるものであり、両者の立場をバランスよく伝えることが不可欠だ。
- 土葬墓地や水道事業見直しといった争点は、根底に「外国人受け入れ問題」があると指摘された。漠然とした不安が若い世代を中心に広がり、接戦の要因となった可能性がある。番組ではベトナム人協会への取材を通じて「尊重し合う社会を」という声を紹介し、外国人労働者に頼らざるを得ない現状を浮き彫りにしていた。外国人問題のテーマを真正面から取り上げた点は評価できる。
- 都市部で熊が出没する事例を現地取材で伝え、危機感を視聴者に共有した点は有益だった。県が自衛官OBを登用して独自の対策を進めていることも紹介され、地域安全への取り組みを知る機会となった。熊の出没には気候変動による生態系の変化が背景にあることを踏まえ、駆除だけではなく、環境問題の視点を加えることで、より深い理解と長期的対策につながる報道になると感じる。
- 特殊詐欺防止動画の紹介は意義深いものの、テロップ不足で内容が分かりにくい場面があった。金融犯罪は年々増加しており、カード不正利用など業界全体の課題となっている。視聴者に注意喚起を促すためには、映像開始時から明確なテロップを表示し、被害の実態や防止策を具体的に伝える工夫が必要だ。ニュース番組が社会的警鐘を鳴らす役割を果たすためにも、より分かりやすく強いメッセージ性を持たせる改善が望まれる。
これに対し、番組担当者は次のように述べた。
- 地域密着で「それ(イット)」=視聴者が今知りたいことを、分かりやすく届けることを目指している。一方で、分かりやすさを重視すると単純化や説明不足になり、説明を尽くせば放送時間が足りないという構造的なジレンマがある。天気を含む各コーナーも、宮城の生活に直結する具体性を重視し、災害時に「身近な人の言葉」として届く距離感を日頃から意識している。
- 知事選直後の特別編成として、出口調査や取材を踏まえ争点を選び、番組冒頭にインタビューを置くなど局間調整の事情も反映した。説明要素を盛り込みつつも、当日の視聴者への配慮が不足したと自己検証し、今後は「この一本で何が起きたか・どうすればよいか」まで伝える構成に改善したい。選挙報道の公平性と難しさを踏まえ、問い合わせには社の見解を明確化できる体制づくりを進めたい。
※第630回番組審議会の概要は、12月6日(土)の「月刊チャンネル寸評」で放送。