プログラムのご案内
- タイトル
- 「仙人」
- 著 者
- 芥川 龍之介
- 朗 読
- 浅見博幸アナウンサー
-
第1回放送
2007年11月16日
皆さん。私は今大阪にいます、ですから大阪の話をしましょう。昔、大阪の町へ奉公に来た男がありました。名は何と云ったかわかりません。ただ飯炊奉公に来た男ですから、権助とだけ伝わっています。権助は口入れ屋の暖簾をくぐると、煙管を啣えていた番頭に、こう口の世話を頼みました。…
-
第2回放送
2007年11月23日
医者は苦い顔をしたまま、その後を見送っていましたが、やがて女房に向いながら、「お前は何と云う莫迦な事を云うのだ?もしその田舎者が何年いても、一向仙術を教えてくれぬなぞと、不平でも云い出したら、どうする気だ?」と忌々しそうに小言を云いました。しかし女房はあやまる所か、鼻の先でふふんと笑いながら…
-
第3回放送
2007年11月30日
が、とうとう二十年たつと、権助はまた来た時のように、紋附の羽織をひっかけながら、主人夫婦の前へ出ました。そうして慇懃に二十年間、世話になった礼を述べました。
「ついては兼ね兼ね御約束の通り、今日は一つ私にも、不老不死になる仙人の術を教えて貰いたいと思いますが。」…
-
第4回放送
2007年12月7日
権助の着た紋附の羽織は、もうその大きな庭の松でも、一番高い梢にひらめいています。「今度は右の手を御放し。」権助は左手にしっかりと、松の太枝をおさえながら、そろそろ右の手を放しました。「それから左の手も放しておしまい。」「おい。おい。左の手を放そうものなら、あの田舎者は落ちてしまうぜ。落ちれば下には石があるし、とても命はありゃしない。」…
※一部の作品には、現在において不適切と思われる表現が含まれている場合がありますが、
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
このコンテンツの楽しみ方