
プログラムのご案内

- タイトル
- 「虔十公園林」
- 著 者
- 宮沢 賢治
- 朗 読
- 佐藤拓雄アナウンサー
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第1回放送
2008年5月16日
虔十はいつも繩の帯をしめてわらって杜の中や畑の間をゆっくりあるいてゐるのでした。雨の中の青い藪を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔けて行く鷹を見付けてははねあがって手をたゝいてみんなに知らせました。けれどもあんまり子供らが虔十をばかにして笑ふものですから虔十はだんだん笑はないふりをするやうになりました。……
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第2回放送
2008年5月23日
次の日、空はよく晴れて山の雪はまっ白に光りひばりは高く高くのぼってチーチクチーチクやりました。そして虔十はまるでこらへ切れないやうににこにこ笑って兄さんに教へられたやうに今度は北の方の堺から杉苗の穴を掘りはじめました。実にまっすぐに実に間隔正しくそれを掘ったのでした。虔十の兄さんがそこへ一本づつ苗を植ゑて行きました。……
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第3回放送
2008年5月30日
ところが次の日虔十は納屋で虫喰ひ大豆を拾ってゐましたら林の方でそれはそれは大さわぎが聞えました。あっちでもこっちでも号令をかける声ラッパのまね、足ぶみの音それからまるでそこら中の鳥も飛びあがるやうなどっと起るわらひ声、虔十はびっくりしてそっちへ行って見ました。……
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第4回放送
2008年6月6日
ところがある霧のふかい朝でした。虔十は萱場で平二といきなり行き会ひました。平二はまはりをよく見まはしてからまるで狼のやうないやな顔をしてどなりました。 「虔十、貴さんどごの杉伐れ。」……
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第5回放送
2008年6月13日
さて虔十はその秋チブスにかかって死にました。平二も丁度その十日ばかり前にやっぱりその病気で死んでゐました。ところがそんなことには一向構はず林にはやはり毎日毎日子供らが集まりました。……
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第6回放送
2008年6月20日
それでもある日博士は小学校から頼まれてその講堂でみんなに向ふの国の話をしました。お話がすんでから博士は校長さんたちと運動場に出てそれからあの虔十の林の方へ行きました。すると若い紳士は愕ろいて何べんも眼鏡を直してゐましたがたうとう半分ひとりごとのやうに云ひました。……
※一部の作品には、現在において不適切と思われる表現が含まれている場合がありますが、
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
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