
プログラムのご案内

- タイトル
- 「手袋を買いに」
- 著 者
- 新美 南吉
- 朗 読
- 梅島三環子アナウンサー
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第1回放送
2009年2月20日
寒い冬が北方から、狐の親子の棲んでいる森へもやって来ました。或朝洞穴から子供の狐が出ようとしましたが、「あっ」と叫んで眼を抑えながら母さん狐のところへころげて来ました。「母ちゃん、眼に何か刺さった、ぬいて頂戴早く早く」と言いました。母さん狐がびっくりして、あわてふためきながら、眼を抑えている子供の手を恐る恐るとりのけて見ましたが、何も刺さってはいませんでした。…
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第2回放送
2009年2月27日
暗い暗い夜が風呂敷のような影をひろげて野原や森を包みにやって来ましたが、雪はあまり白いので、包んでも包んでも白く浮びあがっていました。親子の銀狐は洞穴から出ました。子供の方はお母さんのお腹の下へはいりこんで、そこからまんまるな眼をぱちぱちさせながら、あっちやこっちを見ながら歩いて行きました。…
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第3回放送
2009年3月6日
子供の狐は、町の灯を目あてに、雪あかりの野原をよちよちやって行きました。始めのうちは一つきりだった灯が二つになり三つになり、はては十にもふえました。狐の子供はそれを見て、灯には、星と同じように、赤いのや黄いのや青いのがあるんだなと思いました。やがて町にはいりましたが通りの家々はもうみんな戸を閉めてしまって、高い窓から暖かそうな光が、道の雪の上に落ちているばかりでした。…
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第4回放送
2009年3月13日
ある窓の下を通りかかると、人間の声がしていました。何というやさしい、何という美しい、何と言うおっとりした声なんでしょう。
「ねむれ ねむれ 母の胸に、ねむれ ねむれ 母の手に――」
子狐はその唄声は、きっと人間のお母さんの声にちがいないと思いました。だって、子狐が眠る時にも、やっぱり母さん狐は、あんなやさしい声でゆすぶってくれるからです。…
※一部の作品には、現在において不適切と思われる表現が含まれている場合がありますが、
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
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