プログラムのご案内
- タイトル
- 「すみだ川」
- 著 者
- 永井荷風
- 朗 読
- 浅見博幸アナウンサー
-
第1回放送
2013年5月10日
俳諧師はいかいし松風庵蘿月しょうふうあんらげつは今戸いまどで常磐津ときわずの師匠ししょうをしている実じつの妹をば今年は盂蘭盆うらぼんにもたずねずにしまったので毎日その事のみ気にしている。…
-
第2回放送
2013年5月17日
蘿月は俄にわかに狼狽うろたえ出し、八日頃ようかごろの夕月がまだ真白ましろく夕焼の空にかかっている頃から小梅瓦町こうめかわらまちの住居すまいを後あとにテクテク今戸をさして歩いて行った。…
-
第3回放送
2013年5月24日
休茶屋の女房にょうぼが縁ふちの厚い底の上ったコップについで出す冷酒ひやざけを、蘿月はぐいと飲干のみほしてそのまま竹屋たけやの渡船わたしぶねに乗った。…
-
第4回放送
2013年5月31日
折々恐しい音して鼠ねずみの走る天井からホヤの曇った六分心ろくぶしんのランプがところどころ宝丹ほうたんの広告や『都新聞みやこしんぶん』の新年附録の美人画なぞで破やぶれ目めをかくした襖ふすまを始め…
-
第5回放送
2013年6月7日
稽古の男は「小稲半兵衛こいなはんべえ」をさらった後のち同じような「お妻八郎兵衛つまはちろべえ」の語出かたりだしを二、三度繰返くりかえして帰って行ったのである。…
-
第6回放送
2013年6月14日
蘿月宗匠そうしょうは冷えた茶を飲干のみほしながら、「長吉はどうしました。」 するとお豊はもう得意らしく、「学校は今夏休みですがね、遊ばしといちゃいけないと思って…
-
第7回放送
2013年6月21日
「長吉が十八じゃ、あの娘こはもう立派な姉ねえさんだろう。やはり稽古に来るかい。」 「家うちへは来ませんがね、この先の杵屋きねやさんにゃ毎日通かよってますよ…
-
第8回放送
2013年6月28日
残暑の夕日が一ひとしきり夏の盛さかりよりも烈はげしく、ひろびろした河面かわづら一帯に燃え立ち、ことさらに大学の艇庫の真白なペンキ塗の板目はめに反映していたが…
-
第9回放送
2013年7月5日
最初に橋を渡って来た人影は黒い麻の僧衣ころもを着た坊主であった。つづいて尻端折しりはしおりの股引ももひきにゴム靴をはいた請負師うけおいしらしい男の通った後あと…
-
第10回放送
2013年7月12日
長吉はいつも忍会しのびあいの恋人が経験するさまざまの懸念けねんと待ちあぐむ心のいらだちの外ほかに、何とも知れぬ一種の悲哀を感じた。…
-
第11回放送
2013年7月19日
あたりを構わず橋板の上に吾妻下駄あずまげたを鳴ならす響ひびきがして、小走りに突然お糸がかけ寄った。…
-
第12回放送
2013年7月26日
お糸は已すでに長吉のよく知っている事情をば再びくどくどしく繰返くりかえした。お糸が芸者になるという事は二、三年いやもっと前から長吉にも能よく分っていた事である。…
-
第13回放送
2013年8月2日
いよいよ御神燈ごしんとうのつづいた葭町の路地口ろじぐちへ来た時、長吉はもうこれ以上果敢はかないとか悲しいとか思う元気さえなくなって、…
※一部の作品には、現在において不適切と思われる表現が含まれている場合がありますが、
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
原作の内容を尊重し、原作通り朗読させていただいております。
このコンテンツの楽しみ方